2026/01/09
【AIブログ連載 第3回】検知→通知→改善までつなぐ。エッジ×クラウド映像AIの使いどころまとめ

第2回では、汎用PC(RTX搭載PC)と、現場向けに最適化されたエッジAI端末(Jetson搭載端末)の違いを整理しました。本記事(第3回)では、その続きとして「実際にどう使い分け、どう運用して成果につなげるか」をまとめます。 結論から言うと、現場要件に合わせてエッジ/オンプレミス/クラウドを適切に組み合わせることで、検知を「記録」へ、記録を「改善」へつなげやすくなります。
目次
現場で映像AIが使われるシーン(代表的な使用用途)
Zenmovが提供できること(要件定義→導入→運用→改善)
まとめ:『検知→記録→改善』を回していく
1. 現場で映像AIが使われるシーン
映像AIは、「人の目で見続ける」作業を減らし、異常や兆候を早く見つけるために使われます。具体的には、次のような場所・現場での活用が進んでいます。
(1)工場/プラント/倉庫(安全・稼働の最適化)
危険エリア侵入、転倒・うずくまり、PPE未着用などを検知し、安全対策を補助します。
設備周辺の滞留や異常兆候を把握し、生産停止や対応工数の増加を抑えます。
稼働状況を可視化し、止めない運用(稼働率向上)に活用します。
(2)駐車場/立体駐車場/駐輪場(満空・混雑の見える化)
満空・混雑・滞在を自動把握し、運営判断に反映します。
滞在傾向や混雑要因を見える化し、誘導・配置の改善につなげます。
サイネージやWebなどの案内に反映し、利用者の分散に活用します。
(3)警備・監視/施設管理(オフィスビル、商業施設、学校、病院、工場敷地など)
侵入、不審行動、置き去り物、滞留などを検知し、担当者へ通知します。
混雑・行列を可視化し、警備配置や導線設計の改善に活用します。
(4)物流倉庫/配送センター/ヤード(安全とオペレーションの見える化)
フォークリフトと作業者の接近、危険エリア侵入などを検知し、安全対策を補助します。
バースやヤードの滞留、入退場、待機列を把握し、ボトルネックを可視化します。
記録を基に、配置・手順・ルールの改善につなげます。
(5)観光地/イベント会場/駅・空港(人流・混雑の分析)
混雑度、導線、滞在時間を可視化し、案内・誘導・スタッフ配置を最適化します。
個人を特定しない集計(匿名化・統計)を前提に、プライバシーへ配慮します。
(6)防災・インフラ(工場、倉庫、駐車場、道路・トンネルなど)
煙・炎などの兆候を早期検知し、初動(連絡・避難・消火)を支援します。
夜間や無人環境でも、検知→通知→記録を自動化しやすい領域です。
(7)医療/介護(病院、クリニック、介護施設、待合・受付など)
転倒、離床、徘徊などの兆候把握により、見守り負荷の軽減を支援します。
混雑や滞留を見える化し、案内や人員配置の改善に活用します。
マスキングやアクセス権限など、プライバシー配慮と運用ルール整備が前提です。
2. Zenmovが提供できること(要件定義→導入→運用→改善)
Zenmovは、現場の制約(回線・設置環境・セキュリティ要件など)と目的(即時通知、録画保存、拠点横断の運用など)に合わせて、エッジ/オンプレミス/クラウドのいずれの構成にも柔軟に対応し、最適な組み合わせをご提案します。端末やカメラ、検知結果、アラート履歴などをダッシュボードで一元的に把握・管理できる構成もご提案可能です。
また、海外(台湾・フィリピン・マレーシア・アラブ首長国連邦・米国など)での設置・運用を見据えた導入支援にも対応可能です。
Zenmovが取り扱う映像AIは「何を検知するか」だけでなく、リアルタイム性、録画の扱い、拠点横断の運用などの要件で最適構成が変わります。次の3つに整理できます。
① エッジ(現場で検知して、すぐ通知)
カメラ映像を現場の端末側で解析し、異常や兆候を検知したら、必要な結果だけを通知・記録する構成です。映像を常時外部へ送らない設計にできるため、遅延や通信量を抑えやすく、現場の即時対応につなげやすいのが特徴です。固定拠点だけでなく、車載や可搬型の装置など“動く現場”でも、通信が不安定な環境で検知・記録を継続する運用に適します。
向いている要件:リアルタイム性が重要/回線が細い・不安定/映像を外部に出したくない(プライバシー配慮)
活用例:工場の安全検知(侵入・転倒・PPE未着用など)、駐車場の満空・混雑検知、ゲート周辺の侵入・滞留検知、公共交通・物流車両での検知・記録(運行中イベントや乗降検知など)
② オンプレミス(社内環境で録画・検索・権限管理まで整備)
録画映像やイベントを社内環境に集約し、保存期間の管理、閲覧権限、監査対応などを含めて運用を固めたい場合に有効です。
向いている要件:社内ネットワークで完結したい/厳格なセキュリティ・監査要件がある/証跡管理を重視したい
活用例:施設や工場敷地の監視運用、関係者ごとの閲覧範囲の整理、事故後の映像確認と再発防止
③ クラウド(多拠点を束ねて、運用を統一・見える化)
複数拠点の映像・イベントを集約し、多拠点の状況把握や運用ルールの統一を進めたい場合に有効です。
向いている要件:拠点が複数ある/遠隔で運用したい/全体を一つの仕組みで管理したい
活用例:複数施設の統合監視、遠隔からの状況確認、アラート対応フローの統一
(補足:VMSの位置づけ)
録画・検索・権限管理・多拠点運用など、いわゆるVMS(映像管理)機能は、事故やトラブルの後に「いつ・どこで・何が」を素早く探せるようになり、関係者間の共有や運用ルールの標準化も進めやすくなります。
3. まとめ:『検知→記録→改善』を回していく
映像AIの価値は、危険や異常を見つけることだけでなく、記録を残し、改善につなげられる点にあります。リアルタイムに気づける仕組み(エッジ推論)と、録画・検索・権限管理などの運用基盤を組み合わせることで、『検知→記録→改善』のサイクルを回しやすくなります。
Zenmovは、現場要件に合わせて構成と運用を設計し、PoCから本番、運用、改善まで伴走します。工場や物流、施設管理、観光、防災、医療・介護など、さまざまな現場で成果が出る形を一緒に検討できれば幸いです。
実証済みモデル(一例)
■ AI検知モデル / 検知対象
乗降検知 | 車両からの人の乗り降り |
人の姿勢認識 | 立っている・座っている・倒れているなどの姿勢 |
顏認識 | 顔の存在や本人かどうか |
電子フェンス検知 | 設定した区域への人や車の侵入や退出 |
群衆検知(人数定義可能) | 混雑とそこに人がどれくらい集まっているか |
人の滞留(滞在時間を設定可能) | 人が同じ場所に長時間とどまっていること |
人の転倒 | 人が倒れた状態 |
尾行/追随検知(入口での後追い | 認証せずに他人の後ろについて侵入する行為 |
地点検知と記録 | 特定の場所に来た・通過したこと |
着衣検出(作業服・制服の検知など) | 作業員や利用者が決められた服装(制服・安全服)を着ているかどうか |
車両故障 | 停止して動かないなど、故障状態にある車両 |
急加速 | 車両が急に加速した動き |
逆走 | 車両が進行方向と逆向きに走行する動き |
赤信号無視 | 信号が赤でも車両が進入・通過する行為 |
フェンス越え(塀の乗り越え) | 人が塀やフェンスを乗り越える行為 |
スピード違反/速度計測(区間測定含む) | 車両の速度が規定値を超えているか |
車両ナンバー認識 | 車両のナンバープレートを読み取る |
道路事故 | 衝突や接触などの事故発生 |
中央線越え (二重線跨ぎ) | 車両が車線中央の規制ラインを越える動き |
違法Uターン | 禁止されている場所でのUターン |
バイクの進入禁止レーン走行 | バイクが指定禁止レーンに進入・走行する |
並列駐車 | 車両が横並びに駐車する状態 |
Uターン検知 | 車両がUターンしている動き |
立入禁止区域侵入 | 人や車両が指定の禁止区域に入る行為 |
車道への異物侵入 | 車道に物体(障害物)が入り込む |
車両走行軌跡の追跡 | 車両の移動ルートを追跡して記録する |
違法駐車(赤線・黄線など) | 駐停車禁止区域に停車している車両 |
交差点での駐車 | 交差点内に駐車している車両 |
違法な左折・右折 | 禁止されている左折・右折行為 |
熱感知センサー検知 | 人や物体からの熱(赤外線)を検知して存在を把握 |
■ AI機能・小売分析パック / 機能説明
事象検索 | 条件(物体、動作、時間等)で録画映像を高速検索。 |
マルチカメラ顔検索 | 複数カメラ映像から同一人物を顔で横断検索。 |
マスク検出 | 顔画像からマスクの有無を判定。 |
マルチカメラナンバー認識検索 | 複数カメラでナンバープレートを認識・検索。 |
タグ&トラック(PTZ追跡) | 対象をタグ付けしてPTZカメラで自動追尾。 |
AI人・車両検出 | AIが人や車両を識別し、アラートや統計に活用。 |
AI火災・煙検出 | AIが火災や煙を早期検知。 |
人数カウント | 来客数や混雑状況を自動計測。 |
ヒートマップ | 人の滞留や動線を色分けで可視化。 |
列検出 | 待機列や滞留状況を検知。 |
■ PPE (保護具)検出機能
ヘルメット | 安全帽着用の有無を検出。 |
高視認ベスト | 蛍光ベストなどの視認性衣服を検出。 |
保護服 | 指定作業服や防護服を検知。 |
■人の行動分析
倒れ込み検出 | 人が倒れた状態を検知。 |
手挙げ検出 | 両手を上げるポーズを検知。 |
しゃがみ動作検出 | しゃがんだ姿勢を検知。 |
ソーシャルディスタンス違反検出 | 人と人との距離を計測し、一定距離未満を検知。 |
■ その他
入退室管理システム連携 | ドア解錠や入退室管理と映像を統合。 |
火災・警報システム連携 | 火災報知や警報設備と連携してイベントをトリガー。 |
外周侵入検知システム連携 | 外周センサーと統合し侵入を検知。 |
外部イベント連携 | POS等外部デバイスの情報を映像と統合。 |
顔認証(ウォッチリスト) | 登録者/要注意者を識別。 |
ナンバー認証(ウォッチリスト) | 登録済/要注意車両を認識。 |
カスタムAI解析 | ユーザー定義のAIモデルを利用可能。 |
水位検知 | 水位の変化を検出。 |
オフライン解析 | インポート動画の解析・検索を実行。 |
マルチカメラオブジェクト追跡 | 複数カメラをまたいで対象を追跡。待機列や滞留状況を検知。 |
類似検索 | 写真・映像に似た人物を映像から検索。 |
データセンタードメイン統合 | 大規模環境で複数ドメインを統合管理。 |